台風19号後の石神井川② 富士見池~東伏見
台風19号ハギビスの豪雨一週間後の石神井川を遡るシリーズ。
武蔵関より上流は西武新宿線と400mほど平行し、富士見池がある武蔵関公園の中へと入ります。
富士見池は現在は石神井川の調整池になっており、上流側に石神井川の越流水を導水する水路(普段は空堀)、下流側には水門が設けられていますが、元々は「関の溜井」と言われる池があり、湧水もあったそうです。
しかし今は池の中の湧水はほとんど見られず、その理由はもし地下水位が上がったとしてもすぐ隣の石神井川が池底よりも掘り下げられた河道を流れているため、そちらに湧出している可能性があるとのこと。
現在の富士見池の水の主な水源は、豪雨時の石神井川の越流水のほか、池の上流側にある早稲田大学の構内に湧き出している水の導水だそうですが季節によっては枯れるようで、水位が足りない時は人工的に地下水をポンプアップしています。
情報ソースは環境省の「環境用水の導入」事例集です。
今回私が石神井川を遡るにあたり、石神井川の流量の増加の原因の一つに富士見池の放流水の増加というのも仮説の1つにありました。ただ、1カ月の経つのにおかしいな、との思いもありました。
実際に見てみると確かに富士見池からは豊富な水が石神井川へ流れ落ちていましたが、非常に多いというわけではなく、それよりも石神井川本流の流量が目立ちました。
富士見池の水位も水際の遊歩道付近までありましたが、これは特段珍しい光景ではありません。
ところでこの富士見池、東側はボート池として人工的な護岸が目立ちますが、西側はご覧の通り、自然の景観があります。
二つある中之島のうち、西側の芦の島の岸は自然護岸で、池はバードサンクチュアリとなっているようです。
また、富士見池上流部の早稲田大学グラウンドの隣を流れる区間は改修が終わった現在、南側の斜面林と隣接し、河道内にも多自然型川づくりが施された、恐らく石神井川全区間の中で最も魅力的な水辺空間が広がっています。
この区間は改修前は狭い三面コンクリート河川が並走する散策路もなく人知れず流れている状態だったので、その頃から比べて大幅な自然環境の回復と言えると思います。
そしてこの区間、ここ10年くらいは冬季はしばしば枯れ川状態となっていますが、今はご覧の通り水量が豊富な状態。
ご覧の通り、草が生えている部分も水が入り込んでいるので、平常時よりもかなり水量が増えていることがうかがえます。
この斜面林の上は下野谷遺跡と言う縄文時代中期の集落跡があるのですが、下野谷遺跡は非常に規模が大きく、地域の拠点的な集落というだけでなく、南関東でも最大級の規模なのだそうです。
それだけの規模を支える河川流量、湧出量があったということでしょう。
早稲田大学グラウンドを抜けると都営東伏見二丁目アパートに隣接する、水辺近づける緩傾斜護岸があります。
ここは昨年2月は完全に枯れていましたが、まだまだ上流から豊富な水が流れてきています。
石神井川は青梅街道を越えて、田無方面へ。
ここの青梅街道橋梁部の上下流部分は、初期の河川改修の段階で将来を踏まえて拡幅されており、石神井川流域環境協議会が1999年の出版した「ふれあい石神井川―うるおいとやすらぎの水辺を求めて―」の中では、石神井川上~中流部では珍しく「砂洲が形成されている」と紹介されていたのですが、東伏見の河道が施工された後だとちょっとイマイチに見えてしまいますね。笑
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