台風19号後の石神井川⑤ 小金井公園と上流端

 台風19号ハギビスの豪雨一週間後の石神井川を遡るシリーズ。

 めがね橋とよばれる多摩湖自転車道との交差部は上下二段構造になっており、基本的に水は下部の水路を流れるようになっています。

 とはいえこのあたりは普段は渇水域。下部の水路にも平常時は水がありませんが、11月2日のこの日、水路には十分な量の水がありました。

 そのまま石神井川は住宅の脇を少し流れ、小金井公園へ。

 小金井公園内部は上部にコンクリートの梁がある構造になっています。河床には土がたまり、草も生えていますが、3面コンクリート水路です。小金井公園の自然との一体感が無いのが残念なエリアになっています。

 そして一級河川石神井川の上流端に到着。石神井川の上流端は小金井公園通りと交差する地点。小金井公園と小金井カントリークラブの境界でもあります。

 上流端というのはあくまで河川法上の一級河川としての上流端。つまり、治水工事の対象になる区間のはじまりがここということで、そこより上流は河川法の下に置かれていない「普通河川」の区間があります。

 ちなみにこの地点、常時水が流れていたのは10年ほど前まで。それも、流れていたのは生活排水と小金井カントリークラブの西にある日立国際電気の工場排水。

 かつての石神井川は上流に行けば行くほど汚く、練馬区で湧水によってそれが薄められて綺麗になっていくという水質特性を持つ河川でした。


 つまりここは湧水は既にほぼ枯れているエリアであり、その生活排水と工場排水の下水道接続後は空堀状態だった場所なのです。

 しかし、この日は様子が違いました。

 一級河川上流端でも清流が流れていたのです。

 雨天直後にこういった光景は時々みられますが、平常水量としてこれだけの水が流れているのは、下水が流れていた時も無かったことです。


 では一体この量の水はどこで湧き出しているのか。
 石神井川はここより上流はしばらく、上部に蓋がついた暗渠区間となります。

 その道中、水の音がする場所がありました。それがこちら。

 明確な確認はできていないのですが、ここは恐らく普通河川区間の石神井川に併設されている雨水幹線「石神井幹線」の合流点だと思われます。

 雨水幹線は地下4mのところにあるため合流点でポンプアップされているそうなのですが、ここで聞こえてきた水の音は、雨水幹線の水が石神井川本流に暗渠の中で合流している音だと考えられます。


 もちろん、雨水幹線の水も一カ月近くの間貯留する規模ではないはずなので、雨水幹線の中のどこかで水が湧きだしている可能性は十分にあるのですが、それを確認する術は残念ながらありません。


 では、雨水幹線ではない普通河川石神井川の状態はどうなっているのでしょうか。

 暗渠区間を遡っていくと、嘉悦大学の敷地に突き当たります。

 嘉悦大学の敷地内の水路は完全な自然河川の状態で残っています。

 この区間は10年ほど前まで先ほど説明した工場排水が流れていました。ただし、工場排水と言ってもただの冷却水。水質的には比較的綺麗で、水路内は小魚や甲殻類の姿を確認することができていました。

 しかし、ここ数年は雨天直後を除いて渇水状態。


 どうせ枯れているのだろうと覗いてみると・・・。

 そこには水が流れていました。たまっているのではなく、しっかりと長れがあるように見えます。

 ただし、上流端で見たほどの水量は明らかに無いと思われ、やはり水のほとんどは雨水幹線由来であったのだと思われます。


 本当はこのままもう少し川沿いを遡りたかったのですが、ここから先は大学敷地内。中学生の頃は正直勝手に入ったこともありましたが、今は明確に立ち入り禁止と書かれている以上、捜索はここまでとしておきます。


 ただし、石神井川の源流部はここよりさらに1.5kmほど西、鈴木小学校付近まで辿ることができます。

 鈴木小学校付近の谷戸地形に何か変化はあるのか、見に行ってみました。

武蔵野台地の湧き水復活を考える

外環道の開通工事を控え、 改めてかつて豊富な湧水量を誇った三宝寺池をはじめとした 武蔵野三大泉(井の頭池・善福寺池)の湧き水復活について、 石神井公園を愛する一般市民の立場から考えたいと思います!

0コメント

  • 1000 / 1000